【インタビュー】東京神学大学教授・芳賀力さん 召命共同体が伝道者を育てる(前編)

東京神学大学(東京都三鷹市、大住雄一学長、以下東神大)は、日本のプロテスタント最大の教団、日本基督教団立の唯一の神学校であり(同教団の認可神学校は関西学院大学と同志社大学の神学部、東京聖書学校、日本聖書神学校、農村伝道神学校がある)、キリスト教神学専門の単科大学だ。

芳賀力さん

学長代行で同大教授の芳賀力(はが・つとむ)さんに話を聞いた。

芳賀さんは1952年、日本基督教団・平塚富士見町教会牧師の息子として生まれた。高校2年の時に洗礼を受け、高校卒業後、病気療養中に献身を決心。79年、東神大修士課程修了後、横浜と福生の教会の牧師を務め、83~87年、西ドイツのハイデルベルグ神学大学に留学し、神学博士を取得した。88年から母校の東神大で教え始め、2013年から4年間、同大学長を務めている。

──東神大のこれまでの歩みを教えてください。

わが校は英語で「Tokyo Union Theological Seminary」と表記するように、さまざまな教派的伝統を一つに束ねたユニオン(Union)、合同神学校です。そのルーツをたどれば、明治学院神学部や東京神学社、青山学院神学部や聖学院神学校といえます。

1941年に33のプロテスタント教会が合同して日本基督教団が誕生した後、それぞれの教派が持っていた神学教育機関が一緒になり、日本東部神学校、日本西部神学校、日本女子神学校が生まれました。さらに、44年には東部と西部の神学校が合併して、日本基督教神学専門学校となります。

戦後、博士課程まで備えるキリスト教単科大学として申請し、1949年に開校しました。当初は、井の頭公園の南、牟礼(むれ)にあったのですが、60年代半ば、国際基督教大学から「キリスト教の中心センターをここにつくろう」と呼びかけられ、三鷹に越してきました。

東京神学大学図書館の外観

──これまでも有名な神学者や牧師が教えられていました。

戦後、新制大学となってからは、桑田秀延(くわだ・ひでのぶ)、山谷省吾(やまや・せいご)、山永武雄(やまなが・たけお)、左近義慈(さこん・よししげ)、熊野義孝(くまの・よしたか)、竹森満左一(たけもり・まさいち)、北森嘉蔵(きたもり・かぞう)、高崎毅(たかさき・たけし)といった蒼々(そうそう)たる神学教授が日本の神学の基盤を整え、さらに欧米で学んだ佐藤敏夫(さとう・としお)、大木英夫(おおき・ひでお)、熊澤義宣(くまざわ・よしのぶ)、加藤常昭(かとう・つねあき)、左近淑(さこん・きよし)、松永希久夫(まつなが・きくお)といった教授陣がその神学的水準を世界的なレベルに押し上げました。その他の方々は改革長老教会、ルーテル教会、メソジスト教会、組合教会、バプテスト教会などの出身者ですが、皆、公同の神学の確立のため、尽力した方々です。

──どのようなプログラムで学ぶことができるのでしょうか。

わが校では、学部から大学院の修士課程(博士課程前期課程)までの一貫したプログラムで、「聖書神学」「組織神学」「歴史神学」「実践神学」の4つの神学を学びます。学部では基礎を徹底して学びます。一方、大学院は、自分から問題を見いだし、探究し、最終的に論文にまとめてもらいます。そこに学びの集大成が現れます。

──大学院に進む人が多いのですか。

もともと6年一貫教育を考えていたので、修士課程を修了して牧師になっていく人が大半です。その後、文科省の指導で学部と大学院を明確に区分したので、試験を通らなければ大学院に入ることはできません。また、博士後期課程も設けており、神学博士の学位を出しています。

──現在、どのような方々が教えておられるのですか。

専任の教員(敬称略)は、聖書神学では、旧約の大住雄一(おおすみ・ゆういち)と小友聡(おとも・さとし)と田中光(たなか・ひかる)、新約の中野実(なかの・みのる)と焼山満里子(やきやま・まりこ)。組織神学では、神代真砂実(こうじろ・まさみ)と須田拓(すだ・たく)。歴史神学では、関川泰寛(せきかわ・やすひろ)、棚村重行(たなむら・しげゆき)、藤野雄大(ふじの・ゆうだい)。実践神学では、小泉健(こいずみ・けん)、ウェイン・ジャンセン、長山道(ながやま・みち)、朴憲郁(パク・ホンウク)。私も組織神学を担当しています。

──学生は何人いるのですか。

学部と大学院を合わせると90人で、博士課程まで入れると103人です。

──男女比は?

90人中、男性が53人、女性が37人ですが、女性の数は年々増えています。

過去には、牧師を招へいする教会から「男性の牧師をお願いしたい」などと言われることもあったのですが、今では教会側も女性教職を積極的に受け入れるようになっています。それは、これまで女性教職たちがやるべきことをしっかりやってきた結果だと思います。

──日本基督教団の学生が学んでいるのでしょうか。

東神大は一教派の神学校ではなく、「使徒信条」でいう「公同の教会」を大事にしています。それぞれの教派が自己主張するのではなく、それぞれの良さを生かし、ルターやカルヴァンの宗教改革に立った上で、教会の公同性を生かすことが教育理念です。そのため、日本基督教団の信仰告白に賛同できれば、どなたでも学べるというスタンスで、いろいろな教団・教派の学生が学んでいます。また、「公同の教会」は日本だけでなくアジアも入りますから、昔からアジアからの留学生も迎えています。

──年齢層は?

入学するには、少なくとも洗礼を受けてから1年が必要なので、高校卒業後すぐ入学する人は非常に少なく、学部3年に編入してくる人が大半です。仕事をやめて入ってくる人もいますし、定年後の人生を主にささげたいと入学される人も少なくありません。(後編に続く)

 

 

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