「私は貧しくなるために生まれてきたのではない」TOKYO WORLD FOOD DAY+GOSPEL

 

「TOKYO WORLD FOOD DAY+GOSPEL」(東京ワールド・フード・デー・クロス・ゴスペル)が20日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で開催された。ハンガーゼロとエバーラスティング・ラブ・プロジェクトが共催したこのイベントは、白鞘慧海(しらさや・えみ)さんやサムエルさんなど、クリスチャン・シンガーらによるライブで大いに盛り上がりを見せた。

10月16日は、世界の食の問題について考える「世界食料デー」(国連制定)。ハンガーゼロでは今年、「ハンガーゼロ 私からはじめる。世界が変わる」をテーマに、10月から11月にかけて、全国29カ所で世界食料デー大会を開催している。

ジェローム・カセバさん=20日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で

ライブの合間、ハンガーゼロのコンゴ民主共和国駐在スタッフ、ジェローム・カセバさんが現地の状況や課題などを話した。

カセバさんはコンゴ出身。日本に留学し、2012年に国際基督教大学大学院を修了した。学生時代からハンガーゼロ東京事務所のパートタイム・スタッフとして働き、13年には同スタッフとしてコンゴに派遣された。その後、現地法人ハンズ・オブ・ラブ・コンゴを設立し、地域の人々のために働いている。

コンゴ民主共和国は、金、ダイヤモンド、ウラン、森林など、ほぼすべての天然資源があるといっても過言ではないくらい資源が豊富な国だ。しかし、コンゴは世界で最も貧しい国の一つ。

1998年から2013年まで15年間にわたって、部族同士の紛争や隣国との戦争など、戦いが絶えない土地だった。この戦争で約500万人以上が亡くなったといわれる。

カセバさんは、「ここでお話するのは、少し憚(はばか)られるのですが、事実なのでお伝えします」と前置きした上で、かつてコンゴが「レイプ大国」と揶揄(やゆ)されていた時代のことを話し始めた。

「当時、政府軍も反政府軍も、レイプを戦いの武器として使用していました。今年、ノーベル平和賞を受賞したコンゴの医師(デニ・ムクウェゲ氏)は、まさにレイプの被害を受けた女性を支援する働きをしていたのです。何の罪もない女性たちがレイプをされ、家族を、そして未来を壊されました。

コンゴでは、レイプされた女性は『恥』とされていました。しかし、女性たちは自ら進んでレイプをされたわけではありません。本当に理不尽なことです。幼児から高齢者まで、年齢に関係なく女性たちはレイプされ、村が一つ破壊されることもありました」

天然資源によって豊かなはずのコンゴがなぜこのような状況に陥ってしまったのだろうか。国連が調査している「人間開発指数」によると、コンゴはその数値がかなり低いとされる。

「天然資源をヨーロッパの国々や米国、日本にも輸出しています。そのお金はどこに行ってしまうのでしょうか。政治汚職により、お金はほんの一部の人にしか還元されていないのです。貧困に苦しむ95%の国民のことなど考えもしていません。

2年前に大統領選挙があるはずでしたが、ジョゼフ・カビラ現大統領が権力の維持を目的に『選挙はやらない』と宣言しました。コンゴ『民主』共和国のはずなのに、実情は民主主義ではなく、独裁政治がなされています」

スライドで説明するジェローム・カセバさん=20日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で

このような状況の中でも、人々は生活を営み、希望を抱きながら日々を送っている。

「その希望は、たった一人から始まる」とカセバさんは言う。

以前、日本からのチームがコンゴを訪ねたことがあった。紛争から逃れた国内避難民のキャンプに彼らを連れて行くと、500キロもの距離を子どもを背負って逃げてきた家族、仕事もなく学校にも行けない子どもたち、きれいな水も食べ物もないという絶望的な状況を前に、彼らはこのようにカセバさんに尋ねた。

「いったい政府は何をしているんだ」

カセバさんの答えはひとこと、「何もしていない」。

そこで、避難民のリーダーであるパメラさんという男性を、ハンガーゼロが主催するセミナーに招いた。彼は村から逃げようとしたとき、目の前で兄を殺された。家も農場も壊された彼は、希望を失い、自殺をしようと考えていた。

このセミナーの後、パメラさんの考えは大きく変わった。キリストを受け入れ、希望を語るようになったのだ。

「今、状況や環境が私を貧しくさせているけれど、私は貧しくなるために生まれてきたのではない。神様がそのようにお創りになるはずがない。私は村に戻る。村のために何かしなければならない。今、自分たちが持っているもので何かを始めなければならない」

パメラさんは村に戻り、伝道師のように働きながら、セミナーで得たことを村の人々に伝え始めた。お金はないが、そこには良い土壌がある。働き人もいた。そこで彼らは農業を始めたのだ。自分たちの手で自分たちの未来を変えたいからだった。その様子を見たカセバさんは涙が止まらなかったという。

「もしかしたら、これは小さなことかもしれません。しかし、小さなことから大きなことが始まるのです。すべては内側から外側へと波及していき、その逆はありません。神様はそのように私たちを創られました。

小さな村から始まったこのムーブメントは、たった一人の男性が変わることによって始まりました。皆さんも、自分のできることは小さいことと感じているかもしれません。しかし、それが外側へと波及して、いずれ大きなムーブメントになることを信じてほしい。

私はコンゴでコンゴの人々と共に生きていきます。日本で学んだことをコンゴの人たちに伝えていきたい。小さな子どもがこの瞬間も亡くなっています。かつてコンゴがそうだったように、多くの女性たちがこの瞬間にもレイプをされています。どうか皆さん、小さなことから始めてみましょう」

世界食料デーのイベントは、11月初旬まで全国各地で続く。詳しくはハンガーゼロのホームページを。

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