コラム

新連載小説「月の都」──キリスト者の自死に射す一条の光 下田ひとみ

投稿日:2018年7月1日 更新日:

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クリスチャンでも風邪をひきます。病気になります。心の病に罹(かか)ります。事故に遭(あ)うし、天災にも見舞われます。そして時に、自死ということも起こります。

いまから10年くらい前のことです。一人の牧師先生が私に打ち明け話をしてくださいました。それは、その先生の教会に起こった悲劇的なある出来事でした。伝道師さんが自死されたのです。

先生は淡々と語られましたが、それは聞くのもつらい内容でした。自死という現実の前には、人は言葉を失います。

お話は1時間半ほど続きました。

苛酷な話でした。それを物語っている部屋は、闇そのもののような空間に思えました。事実、話を始めてからいつのまにか夕方になっていました。電気の点(つ)いていない部屋は暗かったのです。

やがてそのうち、不思議なことが起こりました。部屋の中に光を感じたのです。それは細長い一条の光でした、

この悲劇のどこに光があるのか、私にはわかりませんでした。

牧師先生は憔悴(しょうすい)しきった表情で語り続けておられます。

けれど光は、たしかにありました。

はっきりと見えるほどに。

闇のただ中に、神様は私に一条の光を見せてくださったのです。

 

「月の都」は、この時の感動を基に、自死をテーマにストーリーを創り、書き上げた作品です。

作品中には30代から60代までの3組の夫婦が登場します。

幼い二人の子供を持つ牧師夫妻。無神論者の夫とカトリック信者の妻。大学教授の夫と、夫を崇拝する妻。各々の夫婦が織り成す人間模様。その葛藤、秘密、挫折、そして愛……。

テーマが重いので、暗くならないように心がけ、軽い笑いも入れました。読者の皆様に楽しみにしていただける連載となりますようにと、心から願っています。

(これから毎日、午後6時に掲載します=編集部)

月の都(1)

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下田ひとみ(しもだ・ひとみ)

下田ひとみ(しもだ・ひとみ)

1955年、鳥取県生まれ。75年、京都池ノ坊短期大学国文科卒。単立・逗子キリスト教会会員。著書に『うりずんの風』(第4回小島信夫文学賞候補)『翼を持つ者』『トロアスの港』(作品社)、『落葉シティ』『キャロリングの夜のことなど』(由木菖名義、文芸社)など。

2018年11月17日 患難との戦い(フィリピの信徒への手紙 1:12-20)
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兄弟たち、わたしの身に起こったことが、かえって福音の前進に役立ったと知ってほしい。

つまり、わたしが監禁されているのはキリストのためであると、兵営全体、その他のすべての人々に知れ渡り、

主に結ばれた兄弟たちの中で多くの者が、わたしの捕らわれているのを見て確信を得、恐れることなくますます勇敢に、御言葉を語るようになったのです。

キリストを宣べ伝えるのに、ねたみと争いの念にかられてする者もいれば、善意でする者もいます。

一方は、わたしが福音を弁明するために捕らわれているのを知って、愛の動機からそうするのですが、

他方は、自分の利益を求めて、獄中のわたしをいっそう苦しめようという不純な動機からキリストを告げ知らせているのです。

だが、それがなんであろう。口実であれ、真実であれ、とにかく、キリストが告げ知らされているのですから、わたしはそれを喜んでいます。これからも喜びます。

というのは、あなたがたの祈りと、イエス・キリストの霊の助けとによって、このことがわたしの救いになると知っているからです。

そして、どんなことにも恥をかかず、これまでのように今も、生きるにも死ぬにも、わたしの身によってキリストが公然とあがめられるようにと切に願い、希望しています。

(フィリピの信徒への手紙 1:12-20)

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