文化 歴史

受け継がれたキリシタン埋葬のかたち 五島列島の宇久島

投稿日:2019年1月8日 更新日:

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「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として2018年に世界遺産登録がなされた長崎県・五島列島。その最北にある宇久島(うくじま、佐世保市)で、体を伸ばして埋葬する伸展葬など、キリシタン特有の習俗が近年まで受け継がれていたことが分かった。

宇久島からみ見た小値賀島、納島、野崎島、イマチガワ(カミロ神父捕縛の地〔推定〕)(写真:宇久町観光協会提供)

確認したのは、大浦天主堂キリシタン博物館(長崎市)研究部長の大石一久(おおいし・かずひさ)さん。大石さんは石造物研究家として数多くの研究成果があり、最近は天正遣欧使節だった千々石(ちぢわ)ミゲルの墓石発見により、これまでミゲルが棄教していたという説に疑問を投げかけている。今回の埋葬習慣については、2017年10月末から宇久島などで調査し、昨年3月に報告書をまとめた。

宇久島は、江戸時代に五島列島全域を治めた五島藩(福江藩)発祥地で、宇久氏(五島氏)は16世紀後半に洗礼を受けたキリシタン大名だった。仙台藩の伊達政宗に仕えたキリシタン武将、後藤寿庵(ここで五島氏に改名した)が洗礼を受けたのも、迫害で逃れた同島だ。しかし1622年、イエズス会宣教師のカミロ・コスタンツォ神父が島で捕まって火刑に処せられ後、信徒はいなくなったとされてきた。

宇久島では、火葬が普及する1965~74年ごろまでは、円筒形の棺おけに遺体を入れ、座った状態で土に埋める仏教式の屈葬が一般的だった。しかし、島の西部にある本飯良(もといいら)地区では、長方形の棺おけに仰向けにして寝かせ、胸の上で両手の指を組み、少し膝を曲げて埋葬されている。大石さんによると、こうした伸展葬はキリシタンの墓に見られるものだという。また同地区の葬儀では、遺族の女性が頭に白い布をかぶるが、これもカトリックの女性がミサでベールをかぶるのと似ている。

女性の親族は葬儀の際に白いベールを被る(写真:大石一久さん提供)

本飯良の南東に隣接する神浦地区の鬼塚集落には、河原で集めたと見られる石を長方形に配置して作った墓(約2メートル×約3メートル)も残っている。これも縦に長いキリシタン的要素の濃い墓で、江戸時代前期から17世紀後半にかけて作られたのではないかと分析する。

宇久町鬼塚の配石墓(写真:大石一久さん提供)

大石さんは今回の発見について次のように話す。

「これはあくまでも私の見解ですが、庶民にとってのきちんとした葬儀は、キリスト教の宣教師がもたらしたのではないかと考えています。この時代、京の都では僧侶による葬儀が行われていますが、地方の庶民にとって埋葬はそんなに重視されていませんでした。それが、宗教者による専門の葬儀が宇久島では行われていたのです。伸展葬は、死後に復活する教えに沿ったものです。それが、信仰が途絶えた後も引き継がれていたのは、宣教師の教えを信じ、どんな圧力を受けようとも、それがエネルギーの源になっていたことを示しているように思います」

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