核兵器禁止条約、2021年1月発効へ 世界宗教者平和会議(WCRP)が声明を発表 

核兵器の保有や使用を全面禁止する核兵器禁止条約(TPNW)が2021年1月に発効する。発効の条件となる50カ国・地域が批准したことが24日明らかになった。このことを受け、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会(理事長:植松誠日本聖公会首座主教)は、同条約の発効要件の達成を歓迎する声明を発表した。

WCRPは、1970年10月、京都国際会館に39カ国から集った300人を超える宗教者によって設立された国際NGO。平和実現に向かって献身する全世界の宗教者が集まり、国際協調、核兵器廃絶・軍縮、環境問題、難民問題、紛争変容・予防、災害復興に積極的に取り組んでいる。

声明では、同条約の支持を訴え続けた被爆者やそれに賛同する多くの人々と、この歴史的な偉業の達成の喜びを分かち合いたいと述べ、50カ国の批准は、「核兵器なき世界」に向け大きな前進であり、その実現をめざす人々に多大な勇気を与えたと表明。その上で、さらなる核兵器廃絶に向けて日本政府に対し、核兵器廃絶への行動の強化、核抑止政策の信ぴょう性の検証、同条約の締約国会合へのオブザーブ参加を改めて要請している。

日本政府は、核兵器禁止条約の発効が決まったことについて、核廃絶というゴールは共有しているとしたうえで、安全保障上の脅威に適切に対処しながら、核軍縮を前進させる日本のアプローチとは異なるとして、署名は行わない考えを改めて示している。同条約の締約国会合へのオブザーブ参加についても、「条約に対するわが国の立場に照らし、慎重に見極めていく必要がある」と述べている。

声明の全文は以下のとおり。

 WCRP 日本委員会
核兵器禁止条約 50 か国批准達成を歓迎する声明

2020 年 10 月 25 日、核兵器禁止条約の 50 か国への批准が達成し、発効要件が満たされたことに対し、 (公財)世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会は、心から歓迎の意を表します。

広島、長崎の被爆者をはじめ、世界の核実験、核兵器開発過程で被害を被ってきた方々は、「ふたたび被 爆者をつくらない」という信念のもと、これまで筆舌に尽くしがたいご努力で、同条約の支持を先頭に立 って訴え続けてこられました。そして国内外を問わず多くの人々がその信念を真摯に受けとめ、一人ひ とりが友人、知人、あるいは街頭を行き交う人々などに丁寧に訴え続けてこられました。この度の発効要 件の成立は、核兵器廃絶を願うすべての人々のこうした地道な努力の賜物であり、WCRP は、この歴史 的な偉業の達成を共に喜びを分かち合いたいと思います。

言うまでもなく、核兵器は壊滅的な被害をもたらす「使ってはならない兵器」「使えない兵器」です。そ れは、存在自体が絶対悪であり、一刻の猶予もなく廃絶しなければならないものです。

WCRP は、50 年前の 1970 年の創設以来、世界の宗教者がそれぞれの宗教の違いを超えて、平和を疎外 する地球的課題の解決に取り組み、平和のため宗教協力活動を推進してきました。とりわけ日本委員会 は、人類史上未曾有の惨禍をもたらした戦争被爆国の宗教者として核兵器廃絶に精力を傾注し、行動を 展開してまいりました。

この度の 50 か国批准の達成は、核兵器禁止条約の発効によって「核兵器なき世界」に向けて大きな前進 であり、その実現をめざす人々に多大な勇気を与えるものです。

この意義ある契機に、さらなる核兵器廃絶に向けて、昨今 WCRP が訴えてきた日本政府に対する要望を 以下の通り、繰り返し表明します。

・核兵器廃絶に向けて、より一層の行動を強化すること。 ・核兵器廃絶の最大の障壁と考えられる核抑止政策の信ぴょう性に対する検証を行うこと。 ・核兵器禁止条約の締約国会合にオブザーバー参加し、同条約の発効から目をそむけず、国際法とし て尊重し、誠実に向き合うこと。

WCRP は、諸宗教者が集う連合体として、引き続き、さまざまな国際ネットワークとともに、祈りと平 和の行動を通して、「核兵器なき世界」の実現に力を尽くす決意を新たにします。

2020年10月25日
公益財団法人 世界宗教者平和会議(WCRP)
日本委員会 理事長 植松誠

 






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