「81パーセント」は、おもに中絶や最高裁判所について投票したのではない
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2016年選挙で何がいちばん重要だったかについて、福音派クリスチャンのトップ4に入った回答は以下のとおり。経済を改善させる能力(17%)、医療保障制度についての立場(11%)、移民問題について(10%)、そして国家安全保障の維持(9%)だった。信教の自由(8%)、最高裁判所について(7%)、人柄(7%)、中絶問題(5%)は後退した。
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回答者に2016年投票に影響を与えた項目リストについて尋ねたところ、この内訳はほとんど変わらなかった。ここでも、経済(62%)、医療制度(55%)、国家安全保障(51%)、移民問題(49%)が、福音派クリスチャンの4つの上位項目となっている。信教の自由は5位(45%)に入ったが、福音派クリスチャンの3分の1が、中絶、最高裁判所、人柄、副大統領指名を影響として列挙しただけだった。
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伝統的社会の保守的な価値観によってというより、共和党の価値観に福音派クリスチャンは投票したのだ。中絶と最高裁判所についてがここまで低くランキングされた事実は、「福音派が単一争点で投票する」という一般的に広まっている物語に反している。
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すなわち、共和党の政策は中絶問題より重要だったということだ。
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ほとんどの福音派クリスチャンは、中絶反対の代替案さえあれば支持政党を替える
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それにもかかわらず、中絶問題は多くの福音派クリスチャンにとって重要な問題であり続けている。4分の3の福音派クリスチャンは、「所属政党にかかわらず、真に中絶反対の候補者なら、いとわず投票する」と表明する中絶反対論者だった(75%)。このように、2016年選挙で中絶問題の重要性はアナリストによって誇張されていたかもしれないが、福音派の投票活動においては主要な要素として残っており、中絶賛成政策を熱心に掲げる民主党に投票する大きなハードルとなっている。
Abortion nevertheless remains an important issue for many evangelicals. Three-quarters of evangelicals by belief who are pro-life (75%) expressed a willingness to vote for a candidate who was truly pro-life, regardless of political party. Thus, while abortion’s importance in the 2016 election may have been overblown by analysts, it remains a major factor in evangelical voting and represents a major hurdle in their willingness to vote for Democrats with ardently pro-choice platforms. [/toggle]
2016年、多くの福音派クリスチャンは現実的な壁に直面した。深刻な懸念をいだく有力政党候補者に入れるか、第三者に投票して抗議を示すか。この問題を嘲笑う人もいるが、かなりの部分を占めるトランプ支持者(もしくは第三者に投票したか、投票を棄権した福音派クリスチャン)は、いずれを選択しても自らの良心に反すると信じた。
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言い換えれば、多くは他の優先事項を重視したが、中絶に反対するためにトランプ氏への投票を選択したのは一部の福音派クリスチャンだけだった。
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トランプ氏への投票は、福音派の長期的な展望による
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福音派クリスチャンの多数(57%)は、「トランプ氏のもとで達成された保守的な目標は、その大統領在職期間を超えて続く」という項目に賛成した(3分の1はこれを強く信じている)。最高裁判所であれ、信教の自由であれ、多くの福音派クリスチャンは、彼らが好む政策主導権が長く守られる大統領候補を喜んで受け入れるようだ。
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さらにこれは、「81パーセント」が、戦略的で目標重視、政策重視であることを示している。経済、医療制度、国家安全保障、そして移民問題をめぐる決定は、長期的な利益のための短期的な痛みだと彼らは認識しているのだ。
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つまり、多くの福音派クリスチャンは、現在を大目に見ても、未来のためにトランプ氏に投票したというのが真実なのだ。(次ページに続く)
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「クリスチャニティー・トゥデイ」(Christianity Today)は、1956年に伝道者ビリー・グラハムと編集長カール・ヘンリーにより創刊された、クリスチャンのための定期刊行物。96年、ウェブサイトが開設されて記事掲載が始められた。雑誌は今、500万以上のクリスチャン指導者に毎月届けられ、オンラインの購読者は1000万に上る。