インタビュー

ワールド・ビジョン・ジャパン事務局長の木内真理子さんに聞く(後編) 「自分にはできない」と思ったとき、神への祈りが出てくる

 

──木内さんのバックグラウンドについても教えていただけますか。

祖母、両親ともにクリスチャンの家庭で育ったので、物心ついた時から教会に通い、祈りや聖書は身近な存在でした。中学生の時は、父の仕事の関係でフランスに3年間生活していたこともあります。

その後、高校、大学と進むにつれて、信仰よりも自分の生活を優先させていた時期もありましたが、就職活動をするにあたって「途上国の人々を支援したい。国際協力の仕事がしたい」という思いが与えられたのは、クリスチャン的な価値観を両親に教え込まれていたからかなと思います。当時はバブル期だったので、一瞬でお金が大きく稼げる現場も見せてもらいましたが、私自身はそれにはあまり興味が持てませんでした。

途上国の支援といっても、「かわいそうだから助けたい。かわいそうだから一緒に歩もう」というよりも、日本人にはない途上国の人々のパワー、熱量に圧倒されながら、その人の生活が成り立っていくような道を経済のプロとして一緒に探したいという気持ちが非常に強かったと思います。

それで大学卒業後は国際協力銀行の前身である海外経済協力基金に入職し、ODA(政府開発援助)の仕事に従事しました。インドネシアやケニア、フィリピンなどに駐在したのですが、ダムや道路、鉄道など、国の公共機関を整える仕事はとてもダイナミックで楽しかったですね。

母親になったことを機に退職し、子育てをしながら東京大学のサステイナビリティ学連携研究機構で働くようになりました。子どもを職場に連れて行くことに対してもオープンで、とても理解のある職場だったのですが、子どもが成長するにつれて「途上国の人々の顔が見える仕事がしたい」と、NGOへの転職を意識するようになりました。

ODAの仕事をしていた頃、たとえばインドネシアに鉄道が通ることで喜んでいる政府の人の顔は分かるんですが、「市井(しせい)の人々の生活は、表情はどう変わるんだろう」と、ふとよぎった疑問が忘れられませんでした。今度は、コミュニティーの中に入って一緒に活動するNGO団体がいいなと思っていました。ODA時代からワールド・ビジョンの活動には関心がありました。

──念願かなってワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)に転職されたのですね。大きな変化はありましたか。

驚いたのは、信仰と仕事が重ね合わされているということです。それまでの私は、信仰は信仰、仕事は仕事と分けて考えていたのですが、ワールド・ビジョンはキリスト教の信仰に基づき、ミッションを達成するために仕事をするという考え方なんですね。毎日ディボーションがあったり、仕事中に賛美することにもびっくりしました。また、私が外で働くことに対して「子どもを置いて仕事をするなんて」と反対していた母が応援してくれるようになったことも大きな変化でした。

転機になったのは、2011年3月に起きた東日本大震災です。緊急復興支援の部長に任命されたのですが、それまでWVJでは、国内での大規模支援を行ったことがなかったので、何から何まで手探りでした。被災地の絶望的ともいえる状況を目の前に、「どうしたらいいんだろう」と悩みましたし、先進国を中心に世界中のワールド・ビジョンを通じて56億円の寄付が集まり、プレッシャーもありました。

思いどおりに行かないことも多かったのですが、人間の力の限界を生かして、「最終的に良くしてくださるのは神様だ」ということを直(じか)で感じられるような体験も多くありました。

業務執行顧問の片山信彦氏(写真:ワールド・ビジョン)

──2017年に事務局長に就任されたことも大きな転機となったのでは。

実は、前任者の片山信彦(キリスト者学生会関東地区主事を経て92~2017年までWVJ事務局長。現在、業務執行顧問)から「後を継いでほしい」と言われてから、3年くらい答えを先延ばしにしていたんです。WVJの事務局長は、仕事の面だけでなく、信仰のリーダーの役割もあり、「とてもじゃないけれど私には務まらない」と思っていたんですね。

傲慢(ごうまん)に聞こえるかもしれませんが、自分の職業人生を振り返ってみると、インドネシアやフィリピンへの駐在など、チャレンジングだと感じながらも「何とかなるだろう」と思ってお引き受けしてきました。でも、事務局長だけは「何とかなるだろう」とは思えなかったんですね。あるとき神様に、「自分の力では何とかできない仕事をやりなさい」と言われているのかなと思ったんです。

「自分にはできない」と思ったとき、神様への祈りが出てきます。WVJの30年の歴史の中で、こうして神様に祈らせてもらえる恵みを引き継いできたんだなということにも気づかされました。

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