【「AMOR」との共同インタビュー】イエズス会日本管区長補佐・山岡三治神父 イエズス会を語る(後編)

前編を読む)

──管区長補佐の仕事について教えてください。

日本全国の神父の情報を集めたり、その人たちがどこに行くかを、管区長と決めたりします。ただ、顧問会というのがあって、一人の人に対していろいろな情報をもとに全体的に考えて決めていきます。イエズス会では、異動先について希望も出すことができます。

山岡三治神父

いま日本のイエズス会には180人の会員がいますが、管区長は、会員と必ず1年に1回は会うことになっています。それも、一人につき1時間くらい時間をとってじっくり話を聞くようにしています。その時に必ず報告するのは、健康状態、現状に満足しているか、どこに行きたいか、何ができるのかです。

あとは、高い見地から、ふさわしいところに送られることになりますが、そこに「従順」ということが出てきます。従順というのは、「言うことを聞いて従う(服従)」ということではなく、「相手を信じる」(管区長を信じる)ということです。「どんなところでも、神の意志がそこにあると信じるから、一生懸命やろう」という気になります。

──会員に対する厚い気配りを感じます。

現在、世界中に会員は1万5000人います。そのすべての人々の名簿があって、それを見れば、その人がいま何をしているか、すぐに分かります。会員一人ひとりに対する管理体制がものすごくしっかりしています。

先ほど、「日本管区長が日本中の会員に会いに行く」と話しましたが、全世界の管区長が同じことをしていて、その大型版がローマの総長の訪問です。彼は世界中の管区を回っていて、今回もその一環として日本に来日することになっています。わざわざ訪問するのは、その場で何をしているかを自分の目で確かめられるからです。そうすれば、一緒に働いている人からも話が聞けます。

──報告はすべて、ローマのイエズス会の本部に送られるのですね。

それは今に始まったことではなく、フランシスコ・ザビエル以降、宣教師たちが行っていたことです。世界中の宣教師は必ず年に1回、その地域の様子についてローマに報告書を提出していました。

その時代の宣教師がすごいのは、無事に届かないことも考え、同じものを3通書いて、船便、陸便、商人に託すというかたちで送っていることです。違うルートで2通届いた報告書を見ると、まるでコピーをとったかのようで驚きます。

それを見ると、当時の食べ物、話し方など、さまざまなことが分かります。日本の研究者もローマで宣教師の手紙を見て、当時の日本語について辞書を作っています。

宣教師の功績はこういうところにもありますし、そういうのが残っているのがすごいと思います。私も毎年、報告書を書いていますが、こういうことを考えると、感慨深いものがあります。

AMORの石原良明氏(左)と山岡神父

──イエズス会の特徴を一つ教えてください。

イエズス会はフロンティア精神が強いので、キリスト教が入っていない、それもいちばん危険なところに行きます。南米パラナ川上流域(現在のパラグアイ付近)を舞台にした映画「ミッション」(1986年)も、イエズス会の宣教師の物語です。私も5カ月間、アラスカのエスキモーのところで暮らしました。誰も来ないようなところに教会を広げるため、いろいろ策略を練ってきたのがイエズス会であり、そこにはいい意味も悪い意味もあります。

イエズス会の誓願の中には、「上の地位には立たない」というのがあります。本来、イエズス会士は最前線で人と接することが使命なので、お互いに地道に人と接していく。上に立ってしまうと、上から喋(しゃべ)ることになってしまうからです。そういう意味では、今の教皇も宮殿には住んでないし、普通の車に乗り、腕時計も2000円くらいのを使っているというのも理解できます。

──今後、日本のイエズス会が目指すべき働きについて教えてください。

今月末に来日されるアルトゥーロ・ソーサ総長は、4つ大事なことを語っています。それは、「祈りながら物事を識別していく」、「若者を大切にする」、「移民など排除された人たちを大切にする」、「地球環境を大切にする」ということです。今回もこれらのことを強調すると思うので、日本管区もこの4つを全部生かす精神でそれぞれの活動をしていきます。

まず、日本では若者が減っていますが、未来は若者が作っていきます。日本のイエズス会にとっては、上智大学はとても大事な教育機関なので、いい学生を育てていってほしいと思っています。

排除の問題は日本にもあります。また環境も、単に環境保全ということではありません。教皇も総長も言っているのは、「環境を守るということは、家族を大事にするなど、基本的に人間を大切にしなければ環境は守れない」ということです。

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